果物の育て方一覧 / ナシ
ナシの育て方
難易度: やや難しい ・ 糖度 10〜14度(目安) ・ 初収穫まで3〜5年 ・ 地植え向き ・ 受粉樹が必要 ・ 植えどき 2月・3月・11月・12月
ナシ(なし)は落葉果樹に分類される果物で、難易度は「少し手がかかる」。採れたての和梨の瑞々しさは市販品と別物。棚仕立てにすれば庭の日よけにもなる。糖度の目安は10〜14度で、品種によって差があり、豊水なら12〜14度まで狙えます。中間地では2月・3月・11月・12月に植え付け、初収穫までの目安は3〜5年、収穫は8月・9月・10月です。受粉樹が必要ので、苗木を選ぶ前に本数を決めておきます。このページでは、品種の選び方から植え付け・水やり・肥料・剪定・受粉・病害虫・収穫までを、ナシに固有の数字と時期でまとめています。
ナシの栽培カレンダー
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9(今月) | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ナシ | ◯ | ◯ | ● | ● | ● | ◯ | ◯ |
◯ 植え付け● 収穫◎ 両方枠線=今月
中間地(関東平野部)基準の目安。植え付け2月・3月・11月・12月、収穫8月・9月・10月。寒冷地は春の作業が遅く、暖地は早くなります。
ナシの品種と植え付け時期
同じナシでも、品種で糖度・収穫時期・耐寒性が変わり、植え付け適期もずれます。落葉期(休眠期)に植えるのが基本で、寒冷地は厳寒期を避けて春寄りにします。
| 品種 | 糖度(目安) | 植え付け適期 | 収穫時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 幸水 | 12〜13度 | 2月・3月・11月・12月 | 8月 | 早生の代表。果汁が多く柔らかい。豊水・新高と受粉できる |
| 豊水 | 12〜14度 | 2月・3月・11月・12月 | 8月・9月 | 中生で大玉。酸味があり濃厚。幸水と相互受粉できる |
| あきづき | 12〜14度 | 2月・3月・11月・12月 | 9月 | 新高×豊水×幸水。大玉で酸味が少なく甘い。日持ちする |
| 新高(にいたか) | 11〜13度 | 2月・3月・11月・12月 | 10月 | 晩生の極大果。貯蔵性が高い。花粉が少ないので受粉樹には向かない |
| 二十世紀 | 10〜12度 | 2月・3月・11月・12月 | 8月・9月 | 青梨の代表。さっぱりした甘さ。黒斑病に弱く袋かけが必須 |
品種ごとの植え付け・収穫の時期
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9(今月) | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 幸水 | ◯ | ◯ | ● | ◯ | ◯ | |||||||
| 豊水 | ◯ | ◯ | ● | ● | ◯ | ◯ | ||||||
| あきづき | ◯ | ◯ | ● | ◯ | ◯ | |||||||
| 新高(にいたか) | ◯ | ◯ | ● | ◯ | ◯ | |||||||
| 二十世紀 | ◯ | ◯ | ● | ● | ◯ | ◯ |
◯ 植え付け● 収穫◎ 両方枠線=今月
ナシの品種の選び方 糖度・受粉・地域で決める
和梨は自家不和合性で、相性の良い2品種が必要です。定番の組み合わせは幸水×豊水(相互に受粉できる)。晩生まで長く採りたいなら幸水・豊水・新高(ただし新高は花粉が少ないので受粉樹には使えません)。酸味が少なく大玉が良ければあきづき、さっぱり系の青梨なら二十世紀(病気に弱く袋かけ必須)。家庭では赤梨の幸水×豊水が最も失敗が少ない組み合わせです。
ナシが露地で無理なく育つのは寒冷地・中間地・暖地です。1日6時間以上の直射日光が必要で、実らせるなら地植えが向きます。
ナシの植え付け時期と植え方
落葉期の11〜12月か2〜3月に植えます。土壌適応性が広く、水はけさえ良ければ育ちます。樹勢が強く放任すると5m以上になるため、棚仕立て(高さ1.8m)にして枝を水平に広げるのが本来の育て方です。地植えで2品種を4m以内に。植え付け時に主幹を70cmで切り戻します。鉢植えでの結実は難しいので地植え向きです。
ナシの水やり 活着まで・夏・休眠期
地植えは根づいた後はほぼ雨で足ります。実が肥大する7〜8月に乾燥が続くと実が小さくなるので、週1回たっぷり。ナシは水を好む方で、乾燥より過湿に強い果樹です。冬は不要です。
ナシの肥料 元肥・追肥・お礼肥の時期
11〜12月に元肥、6月に追肥、収穫直後の9月にお礼肥。肥料は多めを好みますが、窒素過多は徒長と病気の原因になります。カリ分の多い果樹用肥料を選びます。堆肥を毎冬すき込むと根張りが良くなります。
ナシの剪定 時期と残す枝
12〜2月に行います。ナシは短果枝と、前年枝の先端付近の花芽に実をつけます。棚仕立てでは主枝を水平に誘引し、そこから出る側枝を左右に振り分け、徒長枝は根元から切ります。花芽のついた短い枝を残し、3〜4年実をつけた古い側枝は新しい枝に更新します。仕立てが要る分、他の果樹より剪定の知識が必要です。
ナシの受粉と実つき 受粉樹が必要
2品種を植えても、開花期の4月は虫が少なく風も強いので、人工授粉をするのが確実です。受粉樹の花を摘んで花粉を集め、筆や梵天で1花ずつつけます。1花そう(7〜8花)に1〜2果を残して摘果し、さらに5月にもう一度間引いて葉25〜30枚に実1個にします。摘果が甘いと小玉ばかりになります。
ナシの病害虫 必ず出るものと対策
黒星病が最大の病気で、葉と実に黒いすす状の斑点が出て落ちます。芽吹き前の3月の石灰硫黄合剤散布と、6月の袋かけが基本です。赤星病はビャクシン(カイヅカイブキ)が近くにあると出るので、庭木の組み合わせに注意。虫はシンクイムシ・アブラムシ・ハダニ・カミキリムシ。二十世紀は黒斑病に弱く、袋かけ無しでは育ちません。
ナシの収穫時期と糖度を上げるコツ
幸水は8月、豊水は8月末〜9月、あきづき9月、新高10月。赤梨は果皮の色が緑がかった茶色から黄褐色に変わり、果梗の付け根に近い部分まで色が回ったころが収穫適期です。軽く持ち上げて横にひねると採れます。ナシは追熟しない(採ったときが最高)ので、早採りは禁物です。木で完熟させると糖度が1〜2度上がります。
ナシの鉢植えは現実的か(地植えとの違い)
鉢植えでの結実は難しく、実らせるなら地植えを勧めます。どうしても鉢なら15号以上の大鉢に2品種、棚の代わりにフェンスへ枝を水平に誘引します。用土は赤玉土7:腐葉土3。実は数個程度と考えてください。
ナシが実がならない・よくある失敗
1本だけ植えて実がつかない、人工授粉をせずに実がつかない、摘果せずに小玉ばかり、黒星病で葉が落ちて樹が弱る、棚仕立てを知らずに樹が巨大化する。ナシは家庭果樹の中でも手順の多い部類で、「植えれば採れる」は期待しないでください。それでも採れたての幸水の甘さは苦労に見合います。
ナシの保存と食べ方
収穫後は冷蔵で1〜2週間(幸水は日持ちが短い)。新高は1か月持ちます。冷やしすぎると甘みを感じにくいので、食べる1時間前に冷蔵庫から出します。小玉や傷ものはコンポートやジャム、すりおろして肉を柔らかくする漬け込みダレに使えます。
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