野菜の育て方一覧 / イチゴ
イチゴの育て方
難易度★★★ ・ 初収穫まで約180〜220日 ・ プランター可 ・ 植え付け適期 10月・11月

イチゴは秋に植えて冬を越し、春に収穫する、家庭菜園のなかでも栽培期間の長い品目です。植え付けから初収穫まで半年前後かかります。日照・水やり・病害虫とどれも効いてきますが、最初につまずきやすいのが「植え付けの深さ」です。株の中心にあるクラウンという部分を埋めるか埋めないかで結果が変わる、この一点が最大のポイントです。半年かける品目だからこそ、最初の植え付けを丁寧にやる価値があります。このページでは、秋の植え付けから春の収穫までを順に説明します。
イチゴの栽培カレンダー
| 品目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10(今月) | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| イチゴ | ● | ● | ● | ● | ● | ◯ | ◯ |
中間地(関東平野部)を基準にした目安です。春まきは寒冷地が約1ヶ月遅く暖地が約1ヶ月早く、秋まきは逆に寒冷地が約1ヶ月早く暖地が約1ヶ月遅くなります。品種・その年の天候で前後します。
イチゴの育て方 家庭菜園の初心者が最初におさえる3つのポイント
1つめはクラウンを埋めないこと。クラウンとは株の中心にある王冠のような形の芯で、ここから葉も花も出ます。土に埋まると腐り、逆に浅すぎると根が乾きます。クラウンが土の表面に半分見える深さが正解です。
2つめは冬に慌てないこと。冬のイチゴは生育が止まり、葉が赤茶けて枯れたように見えます。これは正常な休眠です。一季なりの花芽は主に秋の短日と低温でつくられ、冬の低温はその休眠を覚ますために必要です。心配して室内の暖かい場所に取り込むと、春の生育が乱れます。
3つめはランナーを切ること。ランナーは子株を作るために伸びる細い茎です。実を穫りたい株では、伸びてきたら根元から切り取ります。放置すると株の養分がそちらに回り、実が小さくなります。
イチゴの苗の選び方と植え付け時期
植え付け適期は10〜11月です。この時期に植えて根を張らせ、冬の低温で花芽を作らせ、春に収穫します。春に苗を買って植えることもできますが、その年の収穫は少なくなります。本来は秋植えの品目です。
品種は一季なりと四季なりがあります。一季なりは春に集中して実り、味が濃いのが特徴。四季なりは春から秋まで断続的に実り、収穫期間が長いのが利点です。一方で夏越しと長期の肥培管理が必要になります。長く少しずつ穫りたいなら四季なり、味と収穫量のまとまりを取るなら一季なりという選び方になります。
良い苗は、クラウンが太くしっかりしていて、葉が3〜4枚あり、葉色が濃いものです。病気に強い品種や、ウイルスフリー苗と表示されたものは安心度が上がります。植え付け前に、枯れた下葉は取り除いておきます。
イチゴの植え付けとランナーの向き
植え付けで最も重要なのがクラウンの深さです。土に埋めず、かといって根を露出させず、クラウンの下半分が土に隠れる程度にします。植えた後に水を与えると土が沈むので、やや高めに植えておくとちょうど良くなります。
もうひとつのコツがランナーの向きです。苗にはランナーが切られた跡が残っていて、花はその反対側に咲きます。ランナーの跡を内側(壁側)に向けて植えると、実が通路側に出て収穫しやすくなります。プランターなら跡を中央に向けます。
株間は25〜30cm。植え付け後はたっぷり水を与え、根が動き出すまで乾かさないようにします。マルチを張る場合は、植え付け直後ではなく、冬の寒さに当ててから春先に張るほうが花芽の形成に有利です。
イチゴのプランター栽培のコツ
深さ20cm以上、直径18〜20cmの鉢に1株が目安です。標準的な65cmプランターなら3株。イチゴ専用の吊り鉢やストロベリーポットも使えますが、土量が少ないと乾きやすいので水やりの頻度が上がります。
実が土に触れると傷んで灰色かび病が出ます。プランターでは、実が鉢の縁から垂れるように誘導するか、株元に敷きわらやマルチを敷いてください。高さのある場所に置くと自然に垂れて、この問題が解決します。
冬は屋外に置いたままで構いません。むしろ低温に当てる必要があります。ただし鉢は地面より冷えやすいので、極端な寒冷地では鉢を発泡スチロールで囲うなどの軽い防寒はしてもよいでしょう。室内には入れないでください。
イチゴの冬越しと春の管理
12月から2月にかけて、イチゴは休眠に入ります。葉が赤くなり枯れたように見えますが、クラウンが生きていれば問題ありません。この時期は水やりを控えめにしますが、鉢土を完全に乾かしきると細根が傷んで春の生育に響きます。表土が乾いたら少量与える程度で、乾燥させすぎないでください。
枯れた下葉はこまめに取り除きます。放置すると病気の発生源になります。取るときは葉柄を株元から引き下げるように外し、クラウンを傷つけないよう注意してください。
2月下旬から3月にかけて気温が上がると、新しい葉が展開し始めます。このタイミングで追肥を与え、マルチを張ります。マルチは地温を上げ、実の泥はねを防ぎ、雑草も抑える一石三鳥の作業です。
イチゴの受粉と実の形が悪くなる原因
イチゴの実は、花の中心の粒(めしべ)ひとつひとつが受粉して初めてふくらみます。受粉が不均一だと、一部だけがふくらんだいびつな実になります。屋外なら虫が受粉してくれますが、ベランダで虫が少ない環境では人工授粉が有効です。
人工授粉は簡単で、花の中心を筆や綿棒でやさしくなでるだけです。晴れた日の午前中、花が開いているときに行います。数日おきに咲く花を順に受粉させていくと、形の良い実が揃います。
実が小さい場合は、株の養分不足かランナーの放置が原因です。また一株に多くの実をつけすぎても小さくなります。大きな実を穫りたいなら、花房のうち小さいつぼみを摘んで数を絞る「摘果」も有効です。
イチゴの病害虫と鳥の対策
灰色かび病は実に灰色のかびが生える病気で、実が土に触れたり、多湿で風通しが悪いと出ます。敷きわらやマルチで実を持ち上げ、傷んだ実はすぐ取り除いてください。密植を避けることも予防になります。
ハダニは葉裏につき、葉が白くかすれます。乾燥時に増えるので、葉裏への水かけが有効です。アブラムシは新芽と花に集まります。数が少ないうちに手で取るか水で流します。
見落とされがちなのが鳥の被害です。色づき始めた実は鳥にとっても格好の餌で、収穫直前に食べられることがよくあります。赤くなり始めたら防鳥ネットをかけてください。この対策の有無で収穫量が大きく変わります。
イチゴの一季なりと四季なり どちらを選ぶか
一季なりは春(5〜6月)に集中して実り、一粒が大きく味も濃いのが特徴です。収穫期間は3週間ほどと短いぶん、量がまとまって穫れるのでジャムなどの加工にも向きます。市販のイチゴに近い体験を求めるならこちらです。
四季なりは春から秋にかけて断続的に実ります。1回あたりの量は少ないものの、長く楽しめるのが利点です。真夏は高温で実つきが落ちますが、涼しくなると再び穫れ始めます。子どもと少しずつ収穫を楽しむような使い方に向きます。
どちらもクラウンを埋めない、ランナーを切る、冬に低温へ当てるという基本は共通です。迷ったら、育てやすさを優先して四季なりから始め、慣れてから一季なりで味を狙うという順序が失敗しにくくなります。
イチゴの収穫時期と保存・ランナーで増やす方法
ヘタの際まで真っ赤に色づいてから収穫します。イチゴは収穫後に追熟しないので、完全に色づくのを待ってください。朝の涼しい時間に採ると味が乗っています。ヘタの上をハサミで切ります。
採りたては日持ちが2〜3日と短く、これが市販品と決定的に違う点です。洗わずに保存し、食べる直前に洗ってください。洗ってから置くと急速に傷みます。採れすぎたらジャムにできます。
収穫が終わった6月ごろ、ランナーが盛んに伸びます。これを使って翌年の苗を作れます。親株から2番目・3番目の子株が良い苗になるので、ポットに受けて発根させ、秋に植え付けます。半年がかりの品目だからこそ、記録を残しておくと翌年の判断が楽になります。