野菜の育て方一覧 / ほうれん草
ほうれん草の育て方
難易度★★☆ ・ 初収穫まで約30〜60日 ・ プランター可 ・ 植え付け適期 3月・4月・9月・10月・11月

ほうれん草がうまく育たない原因で見落とされやすいのが土の酸度です。ほうれん草は野菜のなかでも酸性土壌に極端に弱く、日本の雨の多い土壌は放っておくと酸性に傾きます。発芽したのに大きくならない、葉が黄色くなるという相談の大半はここに原因があります。逆に酸度さえ合わせれば、家庭菜園でも十分に育つ品目です。このページでは、土作りから収穫までを順に説明します。
ほうれん草の栽培カレンダー
| 品目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10(今月) | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ほうれん草 | ● | ◯ | ◎ | ● | ● | ◯ | ◎ | ◎ | ● |
中間地(関東平野部)を基準にした目安です。春まきは寒冷地が約1ヶ月遅く暖地が約1ヶ月早く、秋まきは逆に寒冷地が約1ヶ月早く暖地が約1ヶ月遅くなります。品種・その年の天候で前後します。
ほうれん草の育て方 初心者が最初におさえる3つのポイント
1つめは土の酸度をpH6.5前後に調整すること。畑では播種の2週間前に苦土石灰をまいてよく耕します。プランターでは酸度調整済みの野菜用培養土を使えば問題ありません。ここを外すと、他を完璧にやっても育ちません。
2つめは適期にまくこと。ほうれん草の発芽適温は15〜20℃で、地温が高い時期は発芽率が大きく落ちます。真夏をまたぐ栽培は避け、春(3〜4月)か秋(9〜11月)にまきます。とう立ちのリスクが低く甘みも乗る秋まきのほうが、初心者には確実です。
3つめは発芽を揃えること。種皮が硬いので、一晩水に浸してからまくと発芽率が上がります(「プライマックス種子」など処理済みと表示のあるものは不要)。発芽が揃わないと、その後の生育も収穫時期もばらけます。
ほうれん草の土作りと酸度調整
畑では播種の2週間前に苦土石灰をまき、よく耕して土になじませます。必要量は現在のpHと土質、これまでの施用歴で変わるので、可能なら土壌診断キットで測ってから決めてください(毎回同じ量を入れ続けると、逆にアルカリに寄って微量要素が効かなくなります)。2週間あけるのは、酸度を均一に矯正し、元肥との同時施用による障害を避けるためです。
1週間前に堆肥と元肥を入れて、もう一度耕します。ほうれん草は根が深く伸びるため、深さ20〜25cmまでしっかりほぐしておくと生育が良くなります。土が硬いと根が張れず、葉も大きくなりません。
水はけも大切です。ほうれん草は過湿に弱く、水が溜まる場所ではべと病や立枯病が出ます。水はけの悪い畑では畝を高くしてください。プランターでは鉢底石を敷き、受け皿に水を残さないようにします。
ほうれん草の種まきと発芽を揃えるコツ
すじまきにします。深さ1cmほどの溝をつけ、種を1〜2cm間隔で落として覆土し、軽く押さえます。覆土は1〜1.5cmが目安で、浅すぎると乾いて発芽せず、深すぎると出てきません。条間は15〜20cm取ります。
まいた後はたっぷり水を与え、発芽するまで土の表面を乾かさないようにします。ここで乾かすと発芽率が大きく落ちます。新聞紙や不織布を掛けて保湿する方法も有効で、発芽が見えたら外します。
発芽適温は15〜20℃です。秋まきで気温が下がりすぎる時期は不織布のトンネルで保温すると揃いが良くなります。春まきは逆に、気温が上がってからまくととう立ちが早まるので、早めにまくのが基本です。
ほうれん草のプランター栽培のコツ
深さ20cm以上のプランターを選びます。ほうれん草は根を深く張るため、浅型では十分に育ちません。標準的な65cmプランターで10株前後が目安です。深さが確保できるなら、幅は自由です。
培養土は必ず酸度調整済みの野菜用を使ってください。安価な土や再利用した土は酸性に傾いていることがあり、それだけで失敗します。プランター栽培でほうれん草がうまくいかないときは、まず土を疑ってください。
置き場所は日当たりの良い屋外です。ほうれん草は日照を必要とし、光が足りないと徒長して葉が薄くなります。ただし秋冬は寒さに当たるほど甘くなるので、霜が降りる程度なら屋外に置いたままで問題ありません。
ほうれん草の間引きと追肥
発芽後、本葉が1〜2枚のときに株間3cm、本葉3〜4枚で株間5〜6cmになるよう2回に分けて間引きます。混み合ったままだと葉が立ち上がるばかりで大きくならず、蒸れてべと病も出やすくなります。
間引き菜はそのまま食べられます。柔らかくアクも少ないので、サラダや味噌汁に使ってください。捨てずに済むぶん、間引きの心理的なハードルも下がります。
追肥は間引きのタイミングで、株の間に少量ずつ与えます。生育期間が短いので大量の肥料は必要ありません。窒素が多すぎると葉が軟弱になり、病気にもかかりやすくなります。規定量を守ってください。
ほうれん草が育たない・葉が黄色くなる原因
最も多い原因は土の酸性です。発芽はしたのにそこから大きくならない、葉が全体的に黄色い、根の伸びが悪いという症状が出たら、まず酸度を疑ってください。次のシーズンは石灰の量と、まいてから播種までの間隔を見直します。
次に多いのが日照不足です。ベランダの北側や建物の影では、発芽しても葉が薄く徒長します。ほうれん草は葉物のなかでは日光を必要とする部類なので、置き場所を変えてみてください。
下葉から黄色くなる場合は肥料切れ、葉に黄色い斑点が出て葉裏に灰色のかびが見える場合はべと病です。べと病は多湿と過密で出るので、間引きで風を通し、連作を避けることが予防になります。
ほうれん草のとう立ちを防ぐには
とう立ちとは、株の中心から花茎が伸びて花を咲かせようとする状態です。こうなると葉が硬くなり、味も落ちます。ほうれん草は日が長くなると花芽をつける性質があるため、春まきで気温と日長が上がる時期に起きやすくなります。
対策のひとつは品種選びです。西洋種やその交配種はとう立ちしにくく、春まきに向きます。東洋種は甘みが強い一方でとう立ちしやすいので、秋まきに使うのが定石です。袋の適期表示を確認してください。
もうひとつは適期を守り、収穫を遅らせないことです。春まきは生育が早いぶん収穫適期の幅も短くなります。草丈が20cmを超えたら、まとめて収穫して保存に回すほうが確実です。
ほうれん草の病害虫対策
べと病が代表的です。葉の表に黄色い斑点、裏に灰色のかびが出ます。多湿・過密・連作で発生しやすいため、間引きによる風通しの確保、水はけの改善、輪作が予防の柱になります。発病した葉は早めに取り除きます。
アブラムシは新芽と葉裏につきます。数が少ないうちに手で取るか水で流します。ほうれん草はアブラナ科ではないため、小松菜ほどアオムシの被害は受けませんが、ヨトウムシが出ることはあります。
立枯病は苗が根元から倒れて枯れる病気で、過湿と連作が原因です。同じ場所での連作は1〜2年あけてください。プランターでは培養土を毎回新しくするのが最も簡単で確実な対策になります。
ほうれん草の収穫時期とアク抜き・保存
草丈20〜25cmが収穫の目安です。株元にハサミを入れるか、根ごと引き抜きます。根の赤い部分は甘みが強いので、切り落とさず、十字に切り込みを入れて泥を落として一緒に調理してください。
秋冬のほうれん草は霜に当たるほど甘くなります。これは寒さで凍らないよう糖分を蓄えるためで、家庭菜園で最もはっきり味の違いが出る瞬間のひとつです。急がず、寒くなってから採るという選択もあります。
アクの元になるシュウ酸は、茹でて水にさらすと減らせます。茹ですぎず、色が鮮やかになったら上げてください。茹でて水気を絞り、小分けにして冷凍すれば1か月ほど保存できます。まいた日と収穫日をMinologに記録しておくと、来年の適期の判断に使えます。